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海外で課された外国税額の税額控除と損金処理について

海外で課された外国税額の税額控除と損金処理について

 海外で外国税額を課された場合、外国税額控除制度の適用を受けるか、そのまま経費として損金算入することとなりますが、同一事業年度ではどちらか一方の方式を全ての外国税額について適用する必要があります。なお、連結納税制度を採用している場合は、連結グループ全体でどちらかの方式を選択する必要があります。

 一般的には、損金算入方式よりも税額控除方式の方が有利となるケースが多いですが、赤字の場合には、損金算入により繰越欠損金として繰り越す方が有利となるケース等もあります。

 また、税額控除方式によった場合、その年度に控除しきれない金額(控除限度超過額)や使用しなかった控除限度額(控除余裕額)があるときは、3年間まで繰り越すことができますが、税額控除方式から損金算入方式に変更した場合、それまでの繰越控除限度超過額や繰越控除余裕額はすべて打ち切りとなります。

従って、中長期的な課税所得予測を加味してどちらの方式を選択するかを検討する必要があります。

 

<参考文献等>

法人税法69条3項、法人税法69条2項

法人税施行令144条2項、145条2項

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