お役立ちコラム

役員が産休に入る場合、支給する役員給与は定期同額給与に該当しますか?

当社の常務取締役が、産休により当初予定されていた職務の執行が一部できない状態となったため、取締役会の決議を経て、常務取締役の役員給与の額を減額することを決議しました。 当社は3月決算の会社で上記の役員報酬の減額は11月から実施予定ですが、当社が常務取締役に支給する役員給与は定期同額給与に該当しますか?

産休により当初予定されていた職務の執行が一部出来ないこととなった場合に、役員給与の額を減額することは臨時改定事由による改定と認められます。

今回の場合、常務取締役の職制上の地位の変更はないものの、これまで行ってきた役員としての職務の一部を遂行することができなくなったという事実が生じた場合、職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があったものと考えられますので、臨時改定事由による改定に当たり、定期同額給与に該当することとなります。

この臨時改定事由による改定は、事業年度開始の日から3ヶ月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定で、利益調整等の恣意性があるとはいえないものについても、定期同額給与とされる定期給与の額の改定として取り扱うこととしているものです。どのような事情が生じた場合が臨時改定事由に当たるかは、役員の職務内容など個々の実態に即し、予め定められていた役員給与の額を改定せざるを得ないやむを得ない事情があるかどうかにより判断することになりますが、今回のケースは、役員が産休により、当初予定されていた職務の一部又は全部の執行ができないこととなった場合には、役員の職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があると認められることから、これにより役員給与の額を減額して支給する又は支給をしないことは、臨時改定事由による改定と認められます。

<参考文献等>

国税庁HP 役員給与に関するQ&A Q5

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf

関連コラム

収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)
【令和4年度税制改正のポイント】今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。 1-1.賃上げ促進…
収益認識に関する会計基準と工事契約
業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
法人税とは?対象となる法人や税率などの基礎知識を解説!
法人税とは?課税される法人の範囲法人税は、法人の事業によって得られた所得に対して課される税金です。法人と一言でいっても、法人の種類は様々で、法人の目的や特性により、法人税が課される法人と課されない法人に区分されます。法人税法における法人の区…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。