お役立ちコラム

手形で支払った寄付金の取扱い

手形で支払った寄付金が、期末までに支払期日が到来せず決済されていなかった場合、未払寄付金として損金不算入になりますか。

寄付金の支出は、現実に支払がされるまでの間、なかったものとされます。すなわち、寄付金は、期末までに相手先に寄付をすることを申し出ていても、一般の債務と異なり現実に支払をするまでなかったものとしますので、未払金に計上した寄付金の額は、その全額を申告書別表四で加算(処分は留保)しなければなりません。寄付金の支払のために手形の振出し(裏書譲渡を含みます。)をしたときでも同じですから、寄付金の支払のために振り出した支払手形の期末残高を未払寄付金として、申告書別表四で加算(処分は留保)します。翌期手形が決済されたときに支払があったことになりますので、申告書別表四で減算(処分は留保)し、寄付金の損金算入限度額との関係をみることになりますので、申告書別表十四(二)の「支出した寄付金の額」の欄には、この段階で他の寄付金との合計額を記入します。未払寄付金をなかったものとするのは、寄付という贈与行為について確定債務性だけを問題にして損金算入限度額との関係をみますと、寄付金の計上額を操作して、損金算入限度額に対する過不足額の調整をすることが可能になるからです。

 

<参考文献等>

国税庁HP 法人税法基本通達 9-4-2の4

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_04_01.htm 

 

(掲載日:2017年2月1日)

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