お役立ちコラム

海外に居住している場合の印鑑証明の代わりになるサイン証明について

父が亡くなったため、相続税の申告時に添付する遺産分割協議書を作成しました。遺産分割協議書には実印の押印と印鑑証明の添付が必要になりますが、妹はアメリカに住んでいるため印鑑証明の取得ができません。妹はアメリカ人と結婚しておりますが、国籍は日本国籍です。この場合、どうすればよろしいでしょうか。

日本での住民登録を抹消して外国に住んでいる場合,住民登録抹消と同時に印鑑登録も抹消されてしまいます。このため印鑑証明をとることができません。日本の印鑑証明に代わるものとして在外公館が発給するものがサイン証明(署名証明)です。サイン証明の方法には、在外公館が発行する証明書と申請者が領事の面前で署名した私文書を綴り合わせて割り印を行うもの、又は申請者の署名を単独で証明するものの2種類あります。遺産分割協議書の場合は、前者の方法になりますので遺産分割協議書には事前のサインをしないで、領事の面前でサインをする形となります。ほかの相続人の印鑑は事前に押印しておいても大丈夫です。この手続きは本人が在外公館に直接行って申請することが原則となっています。これ以外にも銀行等の預金の相続手続きにもそれぞれサイン証明書が必要となりますので、手続き時には必要な書類を入手して妹さんに送付をしてください。遺産分割協議書の場合は、必要な書類はサイン証明書のみですが、金融機関によってはサイン証明書だけではなく在留証明書も必要となる場合もあります。在留証明書も在外公館で発行しています。在外公館が近くにない場合もありますので、サイン証明書や在留証明書の必要な部数は各金融機関にきちんと問い合わせをして妹さんに送付してあげてください。

<参考文献等>

外務省 在外公館における証明

http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html

国税庁HP 米国籍を有する制限納税義務者が相続税の申告に添付する印鑑証明書 

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/08/04.htm

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