お役立ちコラム

今さら人に聞きにくい「振込振替」「総合振込」「給与振込」の違いとは?

世の中に広く普及している「インターネットバンキング」。個人で利用されている方も大勢いらっしゃると思います。しかし、総務部や経理部に配属されて、いざ仕事で使用するとなるとコレって何だっけ?何か良く分からないけど人には聞きづらいなぁ…なんて思う事はありませんか?

そんな方のために、今回のお役立ちコラムでは、インターネットバンキング契約をしていれば、頻繁に利用するであろう「支払い」機能にフォーカスを当てて、「ビジネスにおけるインターネットバンキングの使い方」、「振込振替」「総合振込」「給与振込」の特徴や違いについてご紹介したいと思います。

注記:

ここでは、法人が銀行とインターネットバンキング契約を結んでいる事、インターネットバンキングで送金を行う事を前提としています。また、こちらのコラムでは汎用的な内容をご紹介しております。金融機関によっては、言葉やサービスの定義・内容が、コラムでご紹介するものと、異なる場合もございますので、詳しくはお取引先の金融機関にお問い合わせください。

 

 

目次

1.法人のインターネットバンキングの基本

2.振込振替ってどんな機能?

3.総合振込ってどんな機能?

4.給与・賞与振込ってどんな機能?

 

 

1.法人のインターネットバンキング利用の基本

 

個人がインターネットバンキングから送金を行う場合、自分のネットバンクにアクセスして振込先情報・金額を入力し、支払いを実行すれば、送金は完了しますが、法人の場合には、この様な一人完結作業は望ましくありません。不正送金の防止や誤送金の防止などの観点から、二つ以上のID(アカウント)を取得し、それぞれのIDが利用できるメニューを限定した上で支払業務にあたるのが一般的です。
 
例えば、下図の様に、管理職のIDには承認権限のみを、スタッフのIDにはデータ作成権限のみを付与すると、スタッフが作成したデータを管理職が承認してから送金が実行される流れとなり、二人の目が入るので実務上、ミスの防止・抑制に効果的です。

 

2.振込振替ってどんな機能?

 
振込振替は、送金先ごとに一つずつ振込データを作成・伝送・承認していく送金方法で、ベーシックな送金方法といえるでしょう。
インターネットバンキングのシステムに口座名義の修正機能が付帯されている事が多く、金融機関・支店・預金種別・口座番号が正しく入力されていれば、誤った名義を入力していたとしても、承認時に修正されるため、振込エラーが発生しません。
入出金明細や通帳に振込1件ごとの記録(送金日・送金金額・振込先名)を残すことができます。
また、銀行の窓口やATMで送金を行うのと同じ様に、支払日当日のデータ作成&承認で、当日中の送金を行う事が可能です(銀行によって承認時限は異なりますが、14時頃までの承認で当日中の送金・着金が可能という設定が多いです)。
振込件数が多い場合には、この機能を使用した送金は煩雑で手間のかかる作業となり得ますが、支払日当日の承認で送金が可能である事、口座名義の修正機能が付帯されている事などから緊急の支払いに対応するには便利な機能といえるでしょう。
 
 

3.総合振込ってどんな機能?

 

総合振込では、複数・大量の送金を一つのデータとして作成し、一括で伝送・承認を行います。
振込・振替では、送金1件ごとに、作成→申請→承認の作業を行う必要があるのに対し、総合振込では、申請と承認はまとめて1回で済むのが特徴です。
インターネットバンキングのシステムの中で振込データを作成する方法もありますが、会計ソフトで出力した全銀データやCSVデータを取り込む機能が付帯されている事も多く、このような機能をうまく活用する事で、経理業務の事務手続きを軽減することが可能です。
ただし、振込振替と異なり、口座名義の自動修正の機能はついていません。
入力情報に誤りがあれば、振込日当日にエラーとなりますので、事前に正確な口座情報を把握・データ入力を行う必要があります。
また、データの承認時限は通常、支払日の前日以前に設定されています。支払日の前日までに、翌日の送金を予約する様なイメージですので、急な支払いへの対応は難しいといえるでしょう。
入出金明細や通帳には「総合振込」として振込合計金額のみの記載となりますので、送金先別の振込金額を確認するには、振込明細表などを参照します。
振込振替と総合振込は、どちらか一方が優れているというものではありません。それぞれの機能を理解した上で、目的にあった送金方法を選択する事が大切といえるでしょう。
 
 
 

4.給与・賞与振込ってどんな機能?

 
最後に給与振込の機能について確認しましょう。
給与振込では、複数・大量の送金を一つのデータとして作成し、一括で伝送・承認を行いますので、操作性は総合振込に近いといえます。
総合振込との違いは大きく3点あります。
1点目は、振込手数料が優遇されるという点です。下表には参考として、みずほ・UFJ・三井住友銀行の2019年7月現在の給与と総合振込の手数料(税込)を挙げましたが、いずれの銀行も給与・賞与振込の手数料は総合振込に比べて半額程度になっている事が分かります。多くの場合、最もベーシックな契約には給与・賞与振込機能の利用権限は付与されておらず、オプションで機能追加をする事になります。その場合、ネットバンキングの月額基本使用料が上がる事になるので、小規模な企業の場合には、総合振込や振込振替機能を使って給与の支払いを行うというケースが少なく無いようです。一方で、一定数以上の従業員を抱える企業では、金融機関と給与・賞与振込機能の利用契約を結び、優遇された手数料を活用する事で、事務費用を抑えながら送金を実施しています。
 
2019年7月現在(参考サイト)
 
 
総合振込との違いの2つ目は承認時限が早いという点です。
総合振込は、支払日の前営業日~2営業日前とされているのに対し、給与・賞与振込は2~3営業日前とやや早く設定されている事が多いです。
これには、給与用の資金を優先的に確保する目的があり、企業の口座から資金が出金されるタイミングも、総合振込や振込振替では支払日=出金日であるのに対し、給与振込の場合は、支払日の前営業日~2営業日前に出金される設定となっている事も多々あります。
 
総合振込との違い3つ目は、支払いを受けた側の通帳・入出金明細に「キュウヨ」「ショウヨ」と表示される点です(総合振込・振込振替で送金した場合は企業名が表示されます)。
私たち会社の従業員はお給料を受け取るための「給与口座」をもっています。いわゆる給与口座は、金融機関によって違いはありますが、ATM手数料の優遇やポイントの加算など、様々な特典が付いています。
「キュウヨ」「ショウヨ」といった表記は、金融機関が該当の口座が「給与口座」で有るか否かを判断する材料となっている場合もあるそうなので、従業員の立場からすると、お給料は、給与・賞与振込機能で送金してもらいたいですね。
 
以上、今回のお役立ちコラムでは、振込振替・総合振込・給与賞与振込の機能について概要をご紹介させて頂きました。最後までお読み頂き有難うございました。
 
 
公開日:2017年01月11日
更新日:2019年08月16日
 
執筆者:田代
写真:123RF
 
 

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