お役立ちコラム

使途不明金、使途秘匿金の法人税法での取扱いについて

使途不明金、使途秘匿金は税務上どのように取扱われるのでしょうか?

 使途不明金(使い道が不明な支出)、使途秘匿金(使い道が隠されている支出)については、所得計算と税額計算において注意が必要となります。

 まず、所得計算においては、その支出金額全額が損金の額に算入されません。

 次に、税額計算においては、その支出金額に対して40%の追加課税が行われます。つまり、通常の法人税とは別に、使途不明金又は使途秘匿金として支出した額(千円未満切捨)の40%相当額の税負担が生じることとなります。したがって、通常法人税が生じない赤字の法人であっても使途不明金又は使途秘匿金に対する税負担が生じます。さらに、地方税にも税負担の影響が及ぶこととなりますので留意が必要です。

 なお、帳簿書類に相手方の氏名等の記載がない場合であっても、相当の理由がある場合、資産の譲受けその他の取引の対価の支払いとしてなされたことが明らかな場合、税務署長が認めた場合には、追加課税は行われないこととされています。

 最後になりますが、平成26年度税制改正により、使途秘匿金に対する課税の特例は、適用期限が撤廃され、永続的に適用されることとなっておりますので、適用関係にご注意ください。

<参考文献等>

・租税特別措置法 第62条

・財務省HP 平成26年度税制改正の解説 租税特別措置法等(法人税関係)の改正

詳解 580ページ 四 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2014/explanation/pdf/p0349_0604.pdf 

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