お役立ちコラム

現物給与とは?

現物給与とはなんですか?

 給与は通常、現金支給又は給与振込にて支給されますが、金銭以外にもその他の経済的利益をもって支給されることがあります。これらを“現物給与”といい、原則として給与所得の収入金額とされています。税務上の現物給与の定義は下記のように例示されます。

 

(1) 物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益

(2) 土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる

経済的利益

(3) 福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償又は低い対価により提供したことに

よる経済的利益

(4) 個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益

 

 現物給与には、①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者側に物品などの選択の余地がないものなど、金銭給与と異なる性質があるため、特定の現物給与では、課税上金銭給与とは異なった取扱いが定められているものもあります。

また、社会保険の標準報酬を算定するにあたっても、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨に換算します。また、自社製品等その他のもので支給される場合は、原則として時価に換算します。

 税務上も社会保険上も、特殊な取扱いがされる事が多いものですので、発生時にはその取扱いに留意が必要となります。

(参照)国税庁タックスアンサー https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2508.htm

    日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/yougo/kagyo/genbutsukyuyo.html

 

掲載日:2017年11月21日

執筆者:西森

 

関連コラム

雇用保険料率の引き上げについて
令和5年4月1日から労働者負担分・事業主負担分ともに雇用保険料率が上がります。労働者負担分が変更となっておりますので、給与計算時に料率の変更を忘れないようにご注意ください。令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率は以下のとお…
4月1日から中小企業も月60時間超残業の割増賃金率が50%になります!
長時間労働の抑制のため、大企業は月60時間超の残業代割増率が引き上げられていました。中小企業に対しては適用が猶予されていましたが、2023年4月からは中小企業にも適用されることになります。つまり、中小企業でも月60時間超の残業に対しては25…
令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除改正点について
扶養控除、年末調整に関連する法改正が令和5年より施行されています。その中の大きな改正点として、国外居住親族に係る扶養控除の適用を受けるケースに関するものがあります。自身の会社に外国人従業員がいる場合には、母国の親族を扶養親族としているケース…
給与のデジタル払い解禁に備えて会社に必要な準備とは?
厚生労働省は令和4年11月28日、給与のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」を公布しました。 給与の振込先が拡大されるのは25年ぶりで、企業は、労使協定を締結したうえで労働者…
【法改正】育児休業中の社会保険料免除制度が変わりました
10月から育児休業中の社会保険料免除制度が変わりました2022年10月から出生時育児休業(産後パパ育休)、育児休業の分割取得など、育児に関する制度が大きく変わりました。こちらに伴い、休業中の社会保険料の免除制度も変わったことはご存知でしょう…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。